Core Web Vitalsをさらに極める：Front-End最適化の高度テクニック集

ここまで LCP / INP / CLS の改善方法を学んできた方は、すでに「合格ライン」を超える力を持っています。
今回は Core Web Vitals をさらに最適化し、サイトを圧倒的に速くするための高度テクニック をまとめます。

フロントエンドのレンダリング最適化・Preload/Prefetch戦略・スケルトンUIなど、プロレベルの改善方法を丁寧に解説します。

1 Early Hints（103）の概要

Early Hints（103ステータス）は、ブラウザが正式なレスポンスを待たずに 先にプリロードを実行できる 新しい高速化技術です。

対応サーバー（Cloudflare / Fastly など）で利用可能で、以下のような要素を先読みできます。

• CSS
• 重要JS
• LCP画像
• Webフォント

対応していない環境では、代替として以下のテクニックを活用します。

• Preload（即時読み込み）
• Preconnect（DNS接続を先に張る）
• Priority Hints（fetchpriority）

2 Preload / Prefetch / Preconnect の使い分け

読み込み最適化の肝となるのがこの3つです。

2.1 Preconnect の WordPress 実装（Google Fontsなど）

// Google Fonts に preconnect（高速化）
add_action('wp_head', function() {
?>
<link rel="preconnect" href="https://fonts.googleapis.com">
<link rel="preconnect" href="https://fonts.gstatic.com" crossorigin>
<?php
});

これによりフォント取得が高速化します。

3 Critical CSS（重要なCSSのみ先にロード）

Critical CSSとは、最初に表示される範囲だけのCSS（Above the Fold）をインラインで挿入し、
残りのCSSを後から読み込む技術です。

これにより CSSブロッキングを防ぎ、LCP改善に大きく貢献します。

3.1 CSSを遅延読み込み（上級者向け）

<link rel="preload" href="/wp-content/themes/style.css" as="style" onload="this.rel='stylesheet'">
<noscript><link rel="stylesheet" href="/wp-content/themes/style.css"></noscript>

インラインCritical CSSとの併用が理想です。

4 INP改善の本質：メインスレッドブロッキングを減らす

INP改善では、次のポイントを抑える必要があります。

• JavaScriptの実行時間を減らす
• レイアウト計算（Reflow）を減らす
• CSSの計算コストを下げる
• イベント処理を改善

4.1 上級ユーザー向け：JSの遅延ロード

// すべてのJSを遅延（defer）読み込み
add_filter('script_loader_tag', function($tag, $handle) {
    if (is_admin()) return $tag;
    if (strpos($tag, 'src') !== false) {
        return str_replace(' src', ' defer src', $tag);
    }
    return $tag;
}, 10, 2);

5 Webフォント最適化（FOIT / FOUT対策）

Webフォントは表示をブロックし、CLSやLCPの悪化につながります。
上級者は以下の最適化を組み合わせます。

• font-display: swap;
• preloadでフォント先読み
• unicode-range で必要文字だけ読み込む

5.1 フォントを preload する例

<link rel="preload" href="/fonts/myfont.woff2" as="font" type="font/woff2" crossorigin>

6 CLSゼロを目指す「スケルトンUI」

CLS対策の最も強力なテクニックが スケルトンUI です。
Amazon・YouTubeなど大企業が採用する手法です。

画像やテキストの配置枠を先に表示し、読み込み後に実データを重ねることで、
レイアウトシフトを完全に防止できます。

6.1 スケルトンUIのCSS例

.skeleton {
  background: #eee;
  border-radius: 6px;
  animation: pulse 1.5s infinite;
}

@keyframes pulse {
  0% { opacity: 1; }
  50% { opacity: 0.4; }
  100% { opacity: 1; }
}

画像枠に適用するだけで CLSが大幅に改善します。

7 HTTP/2 最適化（同時接続による高速化）

HTTP/2 の特長である「多重化」によって、複数のリソースを同時に読み込めます。
そのため、以下の対策が効果的です。

• リソースを小分けにする（JS/CSSの分割）
• 遅延読み込みの徹底（画像 / JS）
• Preload の優先順位管理

8 ページ遷移高速化（高速UX）

以下の技術を使うと体感速度が劇的に向上します。

• Instant Page（hover時に先読み）
• Prefetchページ遷移
• pjax / turbo / swup など高速遷移ライブラリ

8.1 Instant.pageの例（1行でOK）

<script src="https://instant.page/5.1.1" type="module" defer></script>

リンクにカーソルを乗せた瞬間に先読みが始まります。

9 上級のまとめ：Core Web Vitals を極める処方箋

1. Early Hints / Preload / Preconnect の正しい併用
2. Critical CSS の導入
3. JS の遅延読み込み（defer / async）
4. Webフォント最適化でCLSゼロ
5. スケルトンUIでレイアウトを先に確保
6. Instant Page / Prefetch による体感速度改善

ここまで実装できれば、あなたのサイトは「高速サイト」として明確な差別化ができます。
SEOにも強く、離脱率も改善し、UX（ユーザー体験）は大きく向上します。

次のステップは、中級編・上級編の内容を少しずつ実装していくことです。