CDNを入れても速くならない理由10選【WordPress高速化の落とし穴】

CDN(Content Delivery Network)は、本来サイトの読み込み速度を大幅に改善する仕組みです。
しかし、WordPress に CDN(Cloudflare・AWS CloudFront・Fastly 等)を導入しても、

「全然速くならない…」

というケースは驚くほど多くあります。この記事では、CDN が効果を発揮しない代表的な原因10個と、その対処法を詳しく解説します。

1 HTML がキャッシュされていない

CDNは通常、画像・CSS・JSはキャッシュしますが、HTMLはキャッシュしません。

そのため、WordPress本体が毎回PHP処理を行い、サーバー負荷は軽減されず速くなりにくいのです。

1.1 【対処法】HTMLキャッシュを有効にする

  • Cloudflare APO を使う(最も簡単)
  • CloudFront → Lambda@Edge でキャッシュ指示
  • Fastly → HTML キャッシュ設定

2 CDN のキャッシュ HIT 率が低い(MISS連発)

CDN で最も重要なのは「HIT率」です。
MISSが多いと、CDNを通ってもサーバーへ問い合わせが発生し、遅くなります。

2.1 【よくある原因】

  • Cookie が付いていてキャッシュ不可
  • URL が毎回違う(クエリパラメータ)
  • キャッシュルールが甘い

2.2 【対処】キャッシュ設定の見直し

  • Cookie除外設定
  • クエリ付きURLの整理
  • Page Rules / Edge Rulesでキャッシュ強化

3 サーバー自体が遅い(CDNではカバーできない領域)

CDN は「配信」を高速化しますが、
WordPressの生成自体が遅い場合は改善できません。

3.1 【対処】

  • PHPバージョンをあげる
  • 不要プラグイン削除
  • DB最適化(wp_options肥大化の解消)
  • LiteSpeedサーバーに移行

4 CDN の日本拠点が他のCDNより遅いケース

CDNによっては、東京・大阪 POP が弱い場合があります。
また、海外POPを経由するルートが選択され、遅くなることも。

3.1 【対処】

  • Cloudflare → Argo Smart Routing
  • 高速POPを持つCDNに変更(Fastly・CloudFrontなど)

5 TTFB(初期応答)がサーバー側で遅い

CDN は TTFB の一部しか改善しません。

WordPress本体の応答が遅いと、CDNを通しても高速化されません。

3.1 【対処】

  • OPcache ON
  • サーバーの混雑を監視
  • wp-cron をリアルcron化

6 キャッシュプラグインとCDNが競合している

以下のようなキャッシュプラグインは、CDNと衝突しやすいです。

  • W3 Total Cache
  • WP Super Cache
  • LiteSpeed Cache(両方でHTMLキャッシュはNG)

3.1 【対処】

HTMLキャッシュは1ヶ所だけ。

  • CDNに統一(APO推奨)
  • サーバー側に統一(LiteSpeed/NGINXキャッシュ)

7 CDN の設定が「CDN専用」になっていない

オレンジクラウドOFF(Cloudflare)
DNSだけ設定している
など、CDNが実際には動いていない場合があります。

7.1 【対処】DNSの設定確認

  • プロキシモード(橙クラウド)をONにする

8 CSS / JS がミニファイされず重いまま

CDNのミニファイや圧縮が機能していないと、
大きなCSS/JSがそのまま配信され速度が改善しません。

3.1 【対処】

  • CDNのMinifyをON(ただし競合に注意)
  • AutoptimizeでJS/CSSを軽量化

9 オリジンサーバーの画像URLがCDN化されていない

CDNが画像を配信していない場合、速度改善は限定的です。

3.1 【対処】

  • Image CDNをON(Cloudflare Polish/Cloudinaryなど)
  • 画像URL rewriteを設定

10 ページ自体が重すぎる(CDNで吸収できない)

CDNが頑張っても、
サイズ1MB以上のページはどうしても遅くなります。

3.1 【対処】

  • 画像圧縮
  • WebP化
  • 不要スクリプト削除
  • 上部の巨大Hero画像の見直し

11 まとめ:CDNは魔法ではなく「正しく使えば最強」

CDNは正しく設定すれば劇的な高速化が可能です。
しかし、設定ミス・キャッシュ競合・HTML非キャッシュ状態では、むしろ遅くなることもあります。

結論:

  • HTMLキャッシュを有効化(Cloudflare APO 推奨)
  • キャッシュは1ヶ所に統一
  • サーバー側の最適化も並行して行う
  • CDNとWordPressの相性を理解する

これらを押さえれば、CDNの効果を最大限に発揮できます。